Kasetsu

Calligraphy

華雪 / KASETSU

1975年、京都府生まれ。東京都在住。立命館大学文学部哲学科心理学専攻卒業。一字書を中心とした個展を92年より開始。書を習い始めた幼少時、東アジアの文字文化研究者・白川静が手がけた漢和辞典に出会い、漢字の起源、成り立ちに興味を持つ。また、抽象表現主義との相互作用によって形成され、第二次世界大戦後の日本で勃興した前衛書に大きな影響を受ける。約3300年前につくられたとされる漢字の原形である象形文字の考察を深める中で、華雪は時代を超えた人間の本質を見つめ、人間社会を形づくる大きな要素の一つである言葉のあり方を問う作品を発表し続けている。それらの作品は、テーマにそった多様な素材で表現され、様々な形・方法での展示も含め、書とアートの融合を試みるものである。また制作と並行し、様々な社会環境、そしてそこに生きる人たちと一文字の漢字を書くワークショップを継続的に行っている。ワークショップでは、参加者が字を書く行為、その漢字にまつわるそれぞれの思いを聴くことで、人間が言葉を書くことの意味、その行為が人間に及ぼす何かを参加者と共有しうる場となるよう努めている。グローバル化が進み、テクノロジーが発展することで、多様性が可視化すると同時に反発も不確定性も増す現代社会において、華雪は字を書くという表現によって揺れ動き続ける言葉と人間との関係を模索し、人びとに問いかけている。

CV

展覧会
2012 「水と土の芸術祭」(北方文化博物館別館、新潟)
2015 「高橋龍太郎コレクション展——メッセージズ」(十和田市現代美術館、青森)
2016 「山形ビエンナーレ」(東北芸術工科大学/旧西村写真館、山形)
2018 「生命の樹」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡)
2018 「Kasetsu in Conversation with Rosetsu」(Museum Rietberg、チューリッヒ)
2021 「ことばのかたち かたちのことば」(神奈川県民ホールギャラリー、横浜)
2021 「ASIA NOW」(Galerie ANTHOLOGIE、パリ)
2022 「生命の花」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、静岡)
2023 「高橋龍太郎コレクション展―ART de チャチャチャ」(WHAT MUSEUM、東京)
2024 「高橋龍太郎コレクション展——カンヴァスの併走者たち」(山形美術館、山形)
同年「高橋龍太郎コレクション展——日本現代美術私観」(東京都現代美術館、東京)など。

刊行物に、『静物画-篆刻ノート-』(2001年、平凡社)、『石の遊び』(2003年、平凡社)、雑誌「アイデア」特別付録『枕と燈台』(2003年、誠文堂新光社)、『書の棲処』(2006年、赤々舎)、『ATO 跡』(between the books、2009)。2015年、2019年には『ベストエッセイ』(光村図書)にエッセイが収録。
他に、『コレクション 戦争×文学』(集英社)、『木の戦い』(エクリ)をはじめ、書籍の題字も多数手がける。